前回までは転職における失敗を回避するために『【失敗回避】転職の目的と視座について』、また転職を成功させるための思考法のご紹介として『【思考法】転職を成功させる3つのパターン』という記事を書きました。
今回は実際に企業選びをする上で気を付けたい『3つの視点』について解説したいと思います。
この3つの視点を取り入れることによるメリットは、転職における入社前と入社後のギャップを減らすことができるというものです。
「転職したい」という気持ちがあったとしても、なかなか足を前に踏み出せないでいる人も少なくないのではないでしょうか。
二の足を踏む理由の一つとしては、やはり転職してから「やらなければよかった…」と“後悔をしたくない”、”失敗するのが嫌だな”といったネガティブな気持ちが先行しているのもあるかと思います。
或いは自分に“自信”がなかったり、シンプルに“不安”というところも大きな要因でしょう。
しかし、しっかり自己分析・企業分析をし、一つ一つの要素を洗い出していけば、そういったネガティブな感情や不安もある程度取り除くことができますし、何より転職前の期待感を裏切られるような失敗=ギャップも減らせるでしょう。
では、そのギャップを減らすためには、一体どんな視点を持つことが大切なのでしょうか?
ギャップを減らすための3視点とは?

そもそも“ギャップが起こるのはなぜか”というお話なんですが、それは必要とされている『ソフト面』や『ハード面』、或いはその企業を取り巻く『外部環境』が入社前の認識と違っていた場合に起こります。
自分が入社前に考えていたこと、会社から聞かされていた話と、実際にその会社の中で起きていること、起こそうとしていることとの間に認識相違があると、そういったギャップが発生するわけですね。
なので言い換えれば、この認識のズレをなくす、すなわち『ギャップを潰す』という作業を入社の前から徹底できていれば、入社してから「こんなの聞いていない、違う!」ってなってしまう可能性を減らせるわけです。
理屈は非常にシンプルで簡単ですよね。
では実際にこの『ソフト面』『ハード面』『外部環境』というのは、それぞれどうやって擦り合わせて行けば良いのか、一つ一つ見ていきましょう。
『ソフト面』の視点

『ソフト面』というのは、いわば『スキル』や『実務経験』であったり、『コミュニケーション能力』を指します。
スマホで例えると、本体がハードで、中に入っているアプリがソフトの部分にあたります。
要するにソフト面とは、後からいくらでも入れ替えたりバージョンアップができるものになります。
『スキル』というのは単純に作業に対しての技術力があるかどうかといった話になってきます。
『実務経験』というのはその業界や役職についてどれぐらいの経験や知識、実績があるかというものになります。
営業職あれば、今までどれぐらいの結果を数字として残してきたか、そして転職先の企業ではどれぐらいの数字を求められているか。
この『自分の持っているソフト』と『会社の求めてるソフト』のスペックが釣り合っているのか、そこをしっかり確認した方が良いということですね。
また『コミュニケーション能力』というのはどちらかというと先天的に持っている、その人の才能というイメージを持っている方も多いんじゃないかと思います。
確かにコミュニケーション能力というのはその人の性格やセンスにも依存します。
しかし、技術的に磨く・研磨することもできる能力になりますので、コミュニケーション能力というのも企業側から見たらソフト面の一つとして捉えられる能力になります。
例えばですが、あなたがコールセンターのカスタマーサポートであったり、或いはホテルのフロント、飲食店のホールなどをやっていたとします。
まず基本的な応対というのは、マニュアルを見ればどうすれば良いのか書いてありますよね。
やっていくうちにどんどん慣れも出てきて、あまり人と喋るのが得意な方でなかったとしても、段々と普通に話ができるようになって行くでしょう。
また営業職における対話力、コミュニケーション能力というのも技術的に磨いていくことが可能です。
ヒアリングする際の『質問力』に関しても、ある程度は相手がこちらの意図した内容を喋ってくれるようになる『型』というものが存在しますし、頭を使うことで会話する能力は身につけられます。
つまりコミュニケーション能力というのは、先天的なイメージが非常に強いのですが、これは後天的に鍛えることができる能力ということです。
そしてこの『ソフト面』というのは、会社に入ってからでもいくらでも伸ばせる能力だというのは、企業側もちゃんと理解した上で採用をしています。
ただ『入社の時点で』求めている『水準』、或いは『スタート地点』というものがあります。
この水準やスタート地点というものが「最初はゼロでもいいよ」という会社もあれば、「100のうち30ぐらいの位置にいて欲しい」という会社もあるわけです。
で、本来必要な30に対して現状20の地点にいたとしても、ソフト面以外の部分で魅力を感じて貰えれば、足りない10は入ってから磨いてもらえれば良いと判断し内定を出す企業もあるわけです。
これがいわゆる“ポテンシャル採用”というものになります。
ただ、もちろん求めてる水準よりも低い地点からのスタートになるので、入社直後に大変な思いをするのは当然自分です。
そのためキャッチアップする力が必要ではあるんですが、「入社できた」=「自分はそれだけの力があったんだ!」と勘違いしてしまうと、ここで乖離が生まれ、求職者と採用した企業との間で『認識の違い』=『ギャップ』が生まれてしまうわけですね。
「こんなに大変だと思わなかった」「いきなり色々とやらされると思っていなかった」ということが起きてしまう正体の一つが大体コレなんです。
でも、この企業側の『内定都合』と、求職者側の『いま持っている能力』と『本来求められていた水準』との間にどれぐらいの差があるのか。
水準に対して低いのか高いのか、ここを予めしっかり理解した上で入社していれば、こういったギャップっていうのは自然となくなるわけです。
入所する前に『自分は基準より低い状態で入るのかどうか』、これだけでも分かっていれば、入社後に一体どんな姿勢で仕事に挑まなければならないのか、特に最初の3ヶ月間でどれ程のキャッチアップをしなければいけないのか。
逆に、すでに持っている能力や経験を棚卸して今までやっていた通りにやれば良いだけなのか、その辺りのレベル感(難易度)については把握ができるでしょう。
この『ソフト面の擦り合わせをしながら企業選びをする』ということが乖離を防ぐためにも非常に大切になります。
『ハード面』の視点

今度は『ハード面』の擦り合わせになりますが、ハード面というのはソフト面とは反対に、後からは簡単に変えられない部分、或いは物理的にも意図した変化が難しい要素を指します。
例えば『年齢』であったり、(あまり多くの仕事に求めることではないですが)『体格』や『容姿』など、そういったものもハード面となります。
つまり入社の前後で大きく変わるものではなく、努力の介在余地があまりありません。
また、特に『年齢』は34歳以下でないと応募自体ができない求人が存在するなど、ボトムラインが設定されていたりもするので、この辺は純粋に条件として満たすか否かというところをしっかりと見ておく必要があります。
もちろん中には例外的に採用される場合もありますし、ボトムラインが34歳以下となっている求人に対して自分が33歳という際どい年齢で採用された場合も、もちろん合格には変わりありません。
ただし、いずれもそういったケースで入社した場合、水準ギリギリの中での採用なので、入社後の立ち位置は少し厳しくなることもあります。
会社側としては、本来的には若い人を採用して育てたいという想いでそういった水準を設けてたりもするので、それを33歳というギリギリの年齢で入って来る以上は、20代の中途採用者と比べてある程度は放っておいても勝手に仕事を覚えてくれるくらいの状態でないと企業側としては辛いのです。
なので、いくら採用されたからと言っても20代の採用者と全く同じ水準を求められているかと言えばそうではないので、むしろそれぐらいのことを求められて当たり前というスタンスで構えていないと、入社した後で面食らうということは往々にしてあるでしょう。
分かりやすいように例えを出しますが、仮に自分がデザイナーだとして『最新バージョンのPhotoshop』を使うのに、どうしても10年前のパソコンを使って作業しなければならないとなったらどうでしょうか?
正直、めちゃくちゃきついですよね。
会社側としても時流に乗ったWEB系の事業をやっていきたいのに、入って来たのが古いパソコンみたいな人だったりしたら、やはり凄くやり辛いわけです。
てなると、『古いんだけどそれなりにスピードが速い』だとか『極端にバグが少ない』だとか、何かしらそういった『今のパソコンにも負けない何か』を持っていないキツイという風に見られてしまうは当たり前の話ではないかと思います。
なので企業側が求めていること、そもそもの求人の背景について把握した上で自分は『合ってる』のか、そこをしっかりと認識するということも非常に大切な作業になってきます。
また個人の『性格・趣向』に関しても、ここは企業文化・社風とマッチするかどうかという問題だけでなく、その人の『潜在性』も企業側の考えとマッチするか、採用面接官は見ていたりします。
例えば、新しいことに対して何でも前向きで頑張れる人っていうのは、当然ながら新しいことにチャレンジする力があると思って、企業側はプラスのモノとして見ています。
しかし一方で「飽き性ではないのか?」という逆の見られ方もされるわけです。
もちろん本当に新しいことにチャレンジするのが大好きだというのであれば、季節によって商材が変わるような代理店営業など、常に複数の商材を扱う企業とかは性格的に合うのではないかと思います。
逆に何十年も前からずっと一本の事業をやっていて、これから先も同じ事業をずーっとやって行こうという事業会社であった場合、こういった『新しいことに目移りしやすい』とも捉えられ兼ねない性格の人は、その企業にとっては「あまりマッチしないのではないか?」とマイナスの見られ方をすることがあるということです。
一見すると耳障りの良い言葉でも、企業の方向性や欲しい人材のイメージによってはプラスにもマイナスにもなるのだということを理解しておきましょう。
また『人脈』についてですが、普段どういった人たちと付き合っているのか、どういうコミュニティに属しているのかは、その人の人格形成であったりだとか、その人の価値観を表す一つの指標にもなるので、こういったところも企業側は見ている可能性があります。
例えばですが、自分が何か調べ物をしたくてサイトを検索した際に『全く同じこと』が書いてあるサイトが2つあったとします。
そして片方のサイトは『色んな大手企業のリンク』が貼ってあるのに対し、もう片方のサイトは『如何わしいエロサイトのリンクばかり』が貼ってあった場合、どちらの方が信用性の高いサイトと見られるかというと、当然前者なわけです。
単純にそういう話で、要は良い友達と悪い友達、どちらとの付き合いが多いですか?ということです。
またこういった価値観であったり、相性というものが企業側と求職者との間でズレがないか、しっかりと確かめてから選択するというのは、自分にとって意心地の良さにも直結するので、非常に重要な要素です。
『外部環境』の視点

最後に『外部環境』についてです。
まずそもそも行こうとしている企業の『規模感』であったり、属する市場の『トレンド』や『成長具合』、また競合他社との『差別化戦略』であったりと、そういったことも入社前には把握しておくことが非常に大切です。
例えば、自分の頭の中に「スタートアップやベンチャー企業に転職し、会社の成長と共に自分自身もキャリアアップをしながら、大きな収入を得たい」だとか「役員になりたい」という野望があったとします。
そして内定を貰えた企業がまさに最近できたばかりのスタートアップやベンチャー企業で、そこは希望と合致していたとしましょう。
でも、企業の属する市場自体がめちゃくちゃ右肩下がりで冷え込んでいた場合、その会社がこれから先思い描いていたような成長曲線を描く見込みは非常に低いわけです。
そうなると、そもそも「スタートアップやベンチャー企業に入って何をしたかったのか?」という目的に立ち返ったとき、その会社のこれからの行く末を鑑みれば明らかにミスマッチが起きていることが分かります。
この会社では、あなたの夢が叶えられないということが入社前からはっきりしてしまっているんです。
もし仮に入社時の条件がすこぶる良かったとしても、その先何年・何十年とその企業で長く勤められるかといったら難しいというのも分かりますよね。
一時的には双方の思惑が一致している時期もあるかもしれませんが、恐らくはいずれまた転職することになる可能性が非常に高いでしょう。
なので、こういった外部環境もしっかりと把握しておくというのは、入社前後のギャップを減らす為にも非常に重要になるというわけです。
もちろんこれは業界そのものの安定感であったりだとか、企業としての個の力を持っているかどうか、そういったことを図る上でも重要な要素です。
求職者がまだ独身であれば良いのですが、特に家庭を持ってる人には、簡単に会社に傾いてもらっては困るでしょうから、外部環境もしっかりと頭に入れて企業選びをすると良いでしょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
入社前と後のギャップを減らす為には、こうして『ソフト面』『ハード面』『外部環境』3つの視点から、それぞれ自分にマッチするかどうかをしっかりと把握することが大事です。
またこれは単純に優劣の話ではなく、自分にとって合うか合わないかの話になってくるので、一概にどれが良い悪いということでもありません。
あなたにとって、そして企業にとっても良いか悪いかという話になります。
このあたりは個人の価値観によってだいぶ変わってくるので、自分の性格や趣向を踏まえ、これから先どういう仕事をして行きたいのか、どういう稼ぎを得たいのか。
そういう点をクリアにした上で、企業選びに取り掛かることをおススメ致します。
こんな時は『キャリア相談』をしてみよう
ただの宣伝です(笑)
筆者である私自身も、過去に「30歳を過ぎてから未経験の業界・業種への転職」を試みたのですが、今回の記事でご紹介した『わらしべ長者型』の転職方法により、実際に年収100万円以上のアップに成功しました。
ちなみに”2回の転職を経て”という流れではありますが、僅か1年弱という短いスパンの中でキャリアチェンジと年収アップに成功し、これからは更なる上を目指すべくキャリアの積み重ねをしていこうかという段階にあります。
もともとはサービス業の会社に10年以上勤めていたのですが、その会社は典型的な年功序列型で、キャリアアップするには時間が掛かる上、年収は正直くっそ安かったです。
上司も給料に対しての不満をしょっちゅう口にする有様で、みな残業代で何とか稼ぎを得ているような状態でした。
しかし結婚して子供が生まれ、残業代ありきの時間を切り売りするような稼ぎ方では家族を守れないと判断し、思い切って転職する道を選びました。
正直、最初は怖かったです。本当にこの道を進むのか?という焦りもありました。
でも結果として今の仕事に転職できたことで収入が上がっただけでなく、殆ど残業もありませんし、子どもが保育園で熱を出したとあればすぐに早退してお迎えに行けるくらいの自由も得られました。
人生変えたいな、と思ったらちゃんと行動に移す。
そして正しい努力の仕方を押さえた上で行動量を増やせば、キャリアチェンジもそう難しくないんだなと思いました。
そうした私自身の実体験をもとに、最近はキャリア相談のサービスをメンターにて始めました。
自分で自分のキャリアをデザインし、ブランディングする。
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